この度、2025年8月30日、31日の2日間で第25回日本糖尿病インフォマティクス学会年次学術集会をホテルマリターレ創世佐賀で開催させていただくことになりました。日本糖尿病インフォマティクス学会の発展に貢献されてきた理事長の松久宗英先生並びに前理事長の安西慶三先生はじめ、全ての関係者の皆様に深く感謝いたします。
「すべての道はローマへ通ず」この言葉は古代ローマ帝国の広大な道路網とその影響力を象徴するもので、ローマの中心的な地位を強調しています。ローマ帝国の道路システムがいかに広範囲に及び、様々な地域を結びつけ、帝国全体の統一を可能にしたかを反映しています。現代においても、ビジネスや政治において中心的な地点や要素が全体に与える影響の大きさを示す際に用いられる言葉です。私事ではありますが、もともと消化器病学、肝臓学の診療や研究を専門とする医師・研究者でありました。その後、糖尿病や代謝に関連する研究、社会における肝疾患や糖尿病等の疾病対策に関わる機会に恵まれました。全ての領域において正しく「情報」を得ること、そしてこれを臨床的・学術的に利活用する「インフォマティクス=情報学」の重要性を感じて来ました。インフォマティクスによって時間や空間、個人の経験や職種、専門領域を超えた学際的な繋がりと波及効果が生まれます。まさにインフォマティクスは情報を運び、領域を繋げ広げる道そのものであり、経由地であり、目的地でもあります。同時にインフォマティクスは個々人、地域といったユニットにも恩恵を与える学問たるべきと考えます。
テクノロジーの進歩に伴い、血糖や、活動量、食事内容といった個人に由来するデータがリアルタイムで収集されるようになりました。また医療機関データやレセプトデータ、健診データなどのいわゆるビックデータに多くの研究者がアクセスすることが出来るようになりました。一方でデータそのものの利活用や社会実装には多くの課題があります。更に各データや情報を統合的・包括的に理解し利用できる仕組み作りも重要です。
本学術集会では糖尿病やデータサイエンスの領域で、研究や活動を行うさまざまな専門家が一堂に会します。特別講演、教育講演、シンポジウム、ハンズオンセミナーなどの多彩なプログラムを準備いたします。研究成果を共有する場であるだけでなく、活発なディスカッションを通して課題解決のヒントが得られ、現場のニーズに少しでもお応えできる貴重な機会となることを心から願っております。本学術集会が、皆様にとって実り多い会となりますよう、ご指導ご支援のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
2024年12月吉日